ワインのある生活

ボルドーワインの特徴②

2020.2.17

ボルドーワインとファッションブランド

前回はボルドーの気候の特徴と、主要な品種についてお伝えしましたが、

今回は、ボルドーワイン ならではのブランドビジネスについてお伝えします。

そこで重要になってくるのが、フランスにおけるブランド文化です。

特にファッション業界と、ボルドーのシャトー(ワイナリー)の関係性は非常に興味深いものがあり、
世界的なファッションブランドがボルドーの有名なシャトーを多数所有しています。

世界のファッション業界では数々のラグジュアリーブランドを傘下に収めるグループ企業と独立系に別れていますが、
世界の3大グループ企業でもっとも巨大なのが、「LVMH」でしょう。

LVMHは「ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー」の略で、世界的高級ブランドである「ルイヴィトン社」と、モエ・エ・シャンドンなどを手掛ける「モエ・ヘネシー社」が合併し立ち上げられた組織です。

現在この傘下に収められるブランドは、
Louis Vuitton
Christian Dior
LOEWE
CELINE
KENZO
EMILIO PUCCI
BVLGARI
FENDI
GIVENCY
MARC JACOBS

残りの2つのグループは、
「ケリング」GUCCI/BALENCIAGA/BOTTEGA VENETA/Yves Saint-Laurent
「リシュモングループ」Cartier/Dunhill/Chloe/Van Cleef & Arpels

(エルメス、シャネルなどは独立系のブランドとなります)

これら「ケリング」「リシュモングループ」、どちらも高級ブランドを傘下に収めますが、LVMHの勢力は群を抜いています。
さらに昨年、LVMHはティファニーの買収も発表するなど、その勢力はどんどん大きくなっています。

そのLVMHの特徴は、ファッションブランド以外にも、高級時計ブランド、「Dior」をはじめとする化粧品ブランド、そしてワイン・スピリッツ部門として数々のブランドを所有するなど多岐に渡ることです。

(下記の図は2000〜2019年1月のLVMHにおける収益の割合です)


LVMHのワイン・スピリッツブランド

そのワイン部門には、かの有名なシャンパーニュブランド「Dom Pérignon (ドン・ペリニヨン)」や、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)があり、他にもKrug (クリュッグ)、Ruinart (ルイナール)も所有します。
最高峰のブランデー「ヘネシー」もそうですね。

そして、ボルドーにおけるLVMHの所有するシャトーといえば、

世界最高峰の貴腐ワイン(甘口白ワイン)を作る「シャトー・ディケム 」です!

貴腐ワインとは、白ワイン用品種のブドウにおいて、果皮にボトリティス・シネレア(Botrytis cinereaという菌が付着することによって、ブドウの水分が奪われ、糖度が高まる事です。貴腐化したブドウを「貴腐ブドウ(きふぶどう)」と呼び、それを用いて造られた極甘口のワインが「貴腐ワイン」と称され、甘さだけでなく独特な芳香を帯び、極めて稀有な香りと味わいを持ちます。
生産量も普通のワインと違って限られるため希少性もあります。
その最高峰の1つがこの「シャトー・ディケム 」です。

そしてこの「シャトー・ディケム 」が造られるボルドー/ソーテルヌ地区で何故このような貴腐ブドウが育つかと言うと、近くを流れる2つの川があり、その合流地点において頻繁に霧が発生するのも大きな要因の1つです。

その霧の湿気によって菌がうまく付着し、ブドウを貴腐化させるという奇跡的な条件が備わっていることも重要です。

「シャトー・ディケム 」はそんな糖度の高いブドウから造られ、良い出来の年のワインは、数十年〜100年もその味わい(熟成によって味わいの変化はあるが)保つとも言われています。

LVMHグループはこのように、ワインにおいてもラグジュアリーブランドを多数所有し、その資金力がシャトー(ワイナリー)に入ることから、さらに設備投資も進み、高品質なワインが毎年安定的に造られるようになります。

ファッション、時計、ワインのそれぞれのハイブランドがそれぞれのブランド価値を互いに高めあっていっているのです。

高貴な服、ラグジュアリーな時計を身につけ、そのステータスで最高峰のワインを嗜む。。

人間の欲求をブレないブランドステータスで満たすことで、LVMHはより巨大なブランド帝国となっています。
そしてボルドーでは他にも、独立系ブランドのシャネルが所有するシャトーとして「シャトー・カノン」「シャトー・ローザン・セグラ」もあります。

「シャトー・カノン」はボルドーサンテミリオン地区の格付け赤ワインでこれもラグジュアリーワインに位置します。
メルロー種とカベルネフラン種でブレンドされ、濃密な果実味と滑らかなタンニン(渋み)、綺麗で上品な酸が特徴で、熟成にも優れ非常に評価の高い赤ワインです。
「シャトー・ローザン・セグラ」は、ボルドー/メドック地区マルゴーにあるシャトーで、格付け2級(ボルドー/メドック地区格付けは1〜5級)を誇ります。

ここマルゴー村で造られる最高峰のワインの1つにはシャトー・マルゴー(格付け1級)がありますが、この「シャトー・ローザン・セグラ」もこの地区の特徴を良く表したワインで、華やかでエレガントな香りと、柔らかで密の細かい果実味でとても評価が高いワインです。
1960年代、70年代と不遇の時代を過ごしますが、
1994年にシャネルがオーナーとなってから、大規模な排水設備の完備、セラーの新設など、数億円にも及ぶ投資を実施し、2級に相応しいシャトーへと変革を果たしました。

このようにシャネルも独自のブランドのイメージをシャトーにも求め、シャネルが持つファッションブランドの世界観と一体となったワイン造りを行なっています。

フランスならではのブランドの創り方と言えるでしょう。
このようにボルドーワインは、世界的にグローバルなファッションブランドと共に、その価値を互いに高め合うだけのポテンシャルを備えており、プロモーションを多角的に展開する一端を担っているのです。

そしてボルドーワインはその歴史、マーケットの特徴などお伝えすることがまだまだありますので、それはまた次回お伝えしたいと思います。

次回は、「ボルドーワインのマーケットの変貌、買収」をテーマにお届けできればと思っております。

ボルドーワインは世界のワインの指標となりますので、その特徴を知ることは、様々なビジネスシーンにおいて大いに役立つと思っております。

私もボルドーには、ソムリエ時代にバイヤーとして何度も足を運んでおりますので、実際に体験したこともふまえて今後もお伝えしていきたいと思います。

それでは。

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